要注意!?遺言書で寄付する理由とその方法

遺言書について

最近、自分の財産を相続人や知人などに遺贈するのではなく施設や団体に寄付する人も増えています。

母校やボランティア団体、支援団体などなど。

そこで今回は遺言による寄付について解説していきます。

遺言による寄付の方法

自分の財産を寄付する方法としては、生前に寄付する方法と遺言で寄付する方法、相続人から寄付してもらう方法などがあります。
相続人から寄付してもらう方法は、相続人に一度相続し、そこから対象となる団体に寄付してもらいます。
そして遺言による寄付の方法は遺言書に寄付して欲しい旨を記載して相続人や遺言執行者に寄付してもらいます。

遺言による寄付の場合、遺言書にその旨を記載するわけですが、不動産を寄付する場合は注意が必要です。
寄付する対象が不動産の場合、寄付を断る団体もあるからです。
例えば、売買できないような自宅やその土地を寄付されても困りますよね。
また登記や処分手続きといった問題から断る場合もあります。
従って、不動産を寄付したい場合は、事前に確認しておきましょう。
もうひとつ注意が必要なのは、寄付する団体がなくなったり、運営方針を変更するといったこともあり得るということです。
そのため毎年、確認しておくほうが良いでしょう。

遺言により寄付をする場合は、家族、特に配偶者の理解を得ておく必要があります。
遺言は遺言者の意思であり、第三者からの意見に左右される必要はありませんが、配偶者がいる場合、例え財産が遺言者名義のものであっても自分一人で築き上げた財産ではなく、夫婦で協力して築き上げたものであると思われます。
そのため、相続人以外に遺贈する場合は特に注意が必要です。

また何故そのような遺言を残したのか、何故その法人に寄付しようと思ったのか、といったメッセージ(付言事項)を遺言書に残しておくのが良いでしょう。
そういった付言事項がないと、家族が騙されているんじゃないかと思い、トラブルになる危険性があります。

遺言で寄付する場合は遺留分に気をつける

遺言書で寄付する場合、遺留分について気をつけましょう。

遺留分を侵害して寄付した場合、相続人から寄付を受けた団体へ遺留分減殺請求される可能性があります。そうすると、寄付を受けた団体に余計な負担をかけることになります。

また感情的になった相続人と団体との間でトラブルとなる危険性もあります。

遺言で寄付する場合は遺言執行者を指定しておく

寄付を確実に行うために遺言執行者を指定しておきましょう。

遺言執行者とは、その名の通り、遺言を執行(実行)してくれる人です。遺言執行者は弁護士や司法書士といった専門家になってもらうと安心ですが、相続人でも構いませんし、友人や知人でも大丈夫です。不動産を寄付しようと思っている人は、遺言執行者に売却してもらい、現金化して寄付するという方法もあります。

遺言で寄付した場合の相続税

遺言で寄付した場合、相続税はどうなるのか?

原則、法人に遺言で寄付する場合、相続税はかかりません。寄付する法人が営利団体であっても非営利団体であっても、遺言による寄付は相続税が課税されないのです(法人税や所得税は課税される可能性はあります)。

また国や地方自治体、公益法人などの場合も相続税はかかりません。しかし相続人から寄付してもらう方法では相続税がかかります(独立行政法人や国立大学法人、社会福祉法人など特定の公益法人の場合はかかりません)。

相続人から寄付してもらう方法だと、相続人が相続税を支払い、残った財産を寄付するというかたちになります。従って、相続税の面で言えば、遺言による寄付のほうが良いと言えますし、これが遺言で寄付するメリットとなるでしょう。

相続税は原則、個人から個人への財産移転について課税されます。しかし、節税目的で寄付したと判断されると、その法人を個人とみなして相続税が課税されます。なので、例えば、親族が経営している会社に寄付して相続税の支払いを免れても、節税目的と判断されれば相続税が課税される可能性はあるということです。

遺言で寄付する場合の文例

例1)すべての財産(または、財産の半分など一定割合)をあしなが育英会に寄付し、遺言の執行時に発生する税や遺言執行費用などをあしなが育英会に負担させる場合

第○○条 遺言者は、遺言者の有する一切の財産をあしなが育英会(住所 東京都千代田区平河町1丁目6番8号 平河町貝坂ビル 法人成りした場合を含む)」に遺贈する。なお、財産の換価に要する実費、未払い租税公課、遺言執行に要する費用、遺言執行者の報酬等はあしなが育英会が負担するものとする。遺言執行者は、換価困難な財産については無償で処分できるものとする。

例2)特定の財産(「○○の土地」とか「○○会社株券○○株」)を寄付する場合

第○○条 遺言者は、遺言者の所有する次の土地・建物及び遺言者名義の預貯金、金融商品を、あしなが育英会(住所 東京都千代田区平河町1丁目6番8号 平河町貝坂ビル 法人成りした場合を含む)に遺贈する。なお、その遺贈に伴って発生する税についてはあしなが育英会が負担するものとする。
あしなが育英会HP
https://www.ashinaga.org/support/bequest/

遺言書に寄付する旨を記載する注意点としては、上記のように相手先をしっかりと書いておくことです。「どこかのボランティア団体に寄付して欲しい」といった内容は原則、認められません。

遺言ではなく死因贈与契約で寄付する

遺言ではなく死因贈与契約という方法もあります。

遺言と死因贈与契約の違いは遺言は一方的な意思表示であるのに対して、死因贈与契約は契約なので双方の意思が合致しているという点です。つまり、極端な話、遺言の場合は受遺者が不要と判断すれば放棄する可能性もあるわけです。

一方、死因贈与契約の場合は契約なので、双方が贈与する、されるという意思表示を確認して約束するという形ですので、受け取らないということはまず考えられません。死因贈与契約は、贈与する財産が不動産の場合、不動産取得税や登録免許税などが課税されますが、契約なので互いが納得して行うことができるというメリットがあります。

寄付先にはどんなところがあるの?

寄付先について一部、ご紹介します。

日本ユニセフ協会
https://www.unicef.or.jp/cooperate/coop_inh1.html

日本赤十字社
http://www.jrc.or.jp/contribute/isan/izo/

日本財団
https://izo-kifu.jp/izou

あしなが育英会
https://www.ashinaga.org/support/bequest/

日本盲導犬協会
https://www.moudouken.net/support/kojin/contribution.php

どうぶつ基金
https://www.doubutukikin.or.jp/legal/bequest

国境なき医師団
http://www.msf.or.jp/donate/legacy/izo.html

WWF
https://www.wwf.or.jp/join/support/donate/legacy/001.html

セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン
https://www.savechildren.or.jp/contribute/bequest/

ドナルド・マクドナルド・ハウス
http://www.dmhcj.or.jp/support/izou.html

この他にも大学などの学校法人や交響楽団なども寄付を受け付けているところがあります。

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