遺言書を作成するにあたって問題となってくるのが遺留分です。
そこで今回は遺留分を侵害した遺言書は有効なのか、無効なのかについて解説していきます。
遺留分を侵害した遺言書とは?
遺留分とは簡単に言うと、相続人が最低限もらえる財産のことを言います。
例えば、夫、妻、子ども2人の家族がいたとして夫が遺言書を作成したとします。その内容が他人Aに全ての財産を相続させるといったことが記載されていました。
この場合、妻は財産の1/4、子ども2人は1/8ずつ遺留分を侵害されていることになります。
遺留分を侵害した遺言書は有効か?
では、そもそも上記のような遺留分を侵害した遺言書というのは有効なのでしょうか。
結論から言うと有効です。
遺言書には法定事項の記載のみが有効で、財産の相続に関する内容は法定事項です。その内容についてまでは定められていませんので、極論で言うと家族以外に相続させる内容でも構わないのです。
しかし、それでは困る人もいますし、納得いかない相続人もいるでしょう。
従って、法律では遺留分を侵害された者に遺留分減殺請求することを認めています。
具体的には遺留分を侵害された者が侵害した者(上記の例で言うと他人A)に請求することになります。
遺言書の付言事項に遺留分について記載しておく
上記の例は稀有なケースですが、よくある遺言書として相続財産を全て妻に相続させるといった内容があります。
この場合、子ども2人の遺留分を侵害していることになります。子どもだから遺留分減殺請求はしないだろうと安易に考える方もいますが、その時点は良くても先々子どもたちがお金に困る可能性もあります。そんな時は正当な権利だと主張する人もいるでしょう。
後々、トラブルにならないよう遺留分について付言事項に記載しておく方法があります。付言事項は法定事項ではないですが、遺言者のメッセージみたいなものを記載しておくとトラブルを回避できるかもしれません。
具体的にはどうしてこのような内容の遺言書を作成したのか、またその事由を考慮して遺留分減殺請求をしないようお願いする内容を記載しておきます。
遺留分を侵害しない内容の遺言書を作成する
今までは遺留分を侵害した内容でしたが、トラブルを回避するため遺留分を侵害しない内容の遺言書を作成するのも良いでしょう。
例えば上記の例で言うと、子ども2人には1/8ずつ財産を相続させます。残りを妻に相続させる内容にすれば子ども達の遺留分は侵害していませんので、遺留分減殺請求をされることもありません。
遺言書は遺言者が亡くなった後に執行されるもので当事者となるのは相続人です。相続人がトラブルになって遺恨を残さないように配慮が必要となることもあるでしょう。
まとめ
さて、いかがでしたか?
今回は遺留分を侵害した内容の遺言書について解説しました。
遺留分については近年、情報が溢れていることもあり正当な権利として主張する人も多くなっているという話も聞きます。後々、トラブルにならないよう遺留分について遺言者もきちんと理解し配慮する必要があるでしょう。
以上、遺留分を侵害した遺言書は有効なのか、無効なのか?でした。
最後まで、お読みいただきありがとうございます。
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