現代病とも言われる「うつ病」。
軽度なものから重度なものまでありますが、うつ病と診断された場合、遺言書を作成しても有効となるのでしょうか。
今回はうつ病・認知症の人の遺言書作成について解説していきます。
うつ病の人が遺言書を作成した場合
遺言書の作成には遺言能力が必要となります。
遺言能力とは簡単に言うと意思能力や判断能力のことで、本人が自分の意思で、遺言の内容をきちんと理解して作成していることが求められます。
では、うつ病はどうなのかというと、うつ病だとしても意思能力や判断能力はあると推察されます。従って、うつ病だからといって遺言できないとはならないと思われます。
認知症の人が遺言書を作成した場合
次に認知症の人が遺言書を作成した場合です。
認知症の場合も、意思能力や判断能力が問われる為、認知症だからといって直ちに遺言は作成できないという話ではありません。
しかし、ケースバイケースで、相続人がその有効性に疑問をもち後に争いに発展する可能性はあります。軽度な認知症であり、遺言の内容も簡単であれば有効となる可能性は高いですが、認知症が進行しており、遺言の内容も複雑だった場合は無効となる可能性が高いです。
うつ病・認知症の人が遺言書を作成したい場合
上記のように、遺言書を作成する場合、意思能力や判断能力が必要となり、うつ病・認知症だからといって遺言できないとはなりません。
しかし、後々、相続人からその有効性について争われる危険性はあります。司法の判断としては病状の程度や状況、遺言の内容など総合的に判断されます。
その為、うつ病・認知症の人が遺言書を作成したい場合は、医師に診断書を作成してもらいましょう。判断能力についての診断書をもらうことで遺言時には判断能力があった証拠となります。また、遺言書は自筆証書遺言ではなく公正証書遺言が良いでしょう。
成年後見人がいる場合の遺言書作成
うつ病や認知症だけでなく、正常な判断ができない等の理由から成年後見人や保佐人、補助人がついている方もいます。これらの人は成年後見人が代理で行ったり、保佐人の同意が必要となるなど法律行為に制限があります。
しかし遺言書については少し話が変わってきます。まず被保佐人と被補助人については同意なく自分自身で遺言することができます。
次に成年後見人がいる場合ですが、成年被後見人が遺言する際は「成年被後見人が事理を弁識する能力を一時回復した時において遺言をするには、医師二人以上の立会いがなければならない。(民法973条)」と規定されています。
従って、判断能力が一時的に回復した時に医師二人以上の立会いのもとであれば遺言することができます。
まとめ
さて、いかがでしたか?
今回はうつ病・認知症でも遺言書を作成できるのかについて解説させていただきました。
作成自体は可能ですが、後々、トラブルとなる危険性が高いので、専門家に相談してみるのが良いでしょう。
以上、「うつ病でも遺言書の作成は可能なのか」でした。
最後まで、お読みいただきありがとうございます。
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