最近では尊厳死の観点から延命治療を拒否したいと考える人も多くなったと思います。
また遺言書を作成する人も増えてきたことから、今回は遺言書で延命治療の拒否ができるかについて解説していきます。
遺言書で延命治療を拒否できるか
では早速、本題ですが、遺言書で延命治療の拒否はできないと考えられます。
遺言書には法律で定められた事項のみが法的効力を持つのですが、延命治療の拒否は法定事項ではないからです。遺言書は遺言者の死後に関してのことを記載します。延命治療の拒否はまだ生存している段階での話ですので、遺言書に記載することはできません。また自筆証書遺言の場合、開封できるのは遺言者が死亡して検認手続きをした後になるので、その時点で延命治療の拒否について遺族が知っても意味がないのです。
延命治療を拒否したい場合どうすれば良いのか
では、延命治療の拒否をしたい場合はどうすれば良いのでしょうか。
この場合、尊厳死宣言公正証書が推奨されています。尊厳死宣言公正証書は公証役場で作成されるため、間違いなく本人の意思であることの証明性が高くなります。尊厳死宣言公正証書を作成し、それを家族などとも共有しておくことで、実際にそのような場面になったときに意思が反映される可能性が高くなります。
もっとも、最終的には医師と家族の判断となりますので、尊厳死宣言公正証書を作成したからといって、確実とは言えません。延命治療を止めることは殺人罪に問われるかもしれない重大な決断をしなければならないからです。しかし、尊厳死宣言公正証書を作成した場合、高い確率で意思が反映されると言われています。
尊厳死宣言公正証書の費用
尊厳死宣言公正証書の作成費用は公証人への手数料と謄本代となります。手数料は11,000円、謄本代は約1,000円ほどなので約12,000円で作成できます。
作成方法としては運転免許証などの身分証明書を持参して公証人と打ち合わせをします。
その後、実印を持参し、公証人が作成した尊厳死宣言公正証書に署名・捺印して終了です。
なお、後々、トラブルにならないよう作成にあたっては家族の了承を得ておく必要があります。
まとめ
さて、いかがでしたか?
今回は遺言書で延命治療を拒否できるかについて解説させていただきました。
延命治療を拒否する場合、遺言書に記載することは適切ではありませんが、その意思を示しておく方法は他にもあります。
不安がある方は専門家に相談してみて適切な方法を模索してみるのも良いかと思います。
以上、「遺言書で延命治療を拒否する記載をしてもよいのか?」でした。
最後まで、お読みいただきありがとうございます。
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