今回は遺言の効力の期間について解説していきます。
遺言の効力はいつから発生するのか。そしていつまで効力を保っているのか。
効力はいつから発生するのか
まず前提として遺言には法定事項というものが存在し、決められた方式でないと効力を持ちません。つまり無効になります。
有効な遺言の効力は遺言者の死亡時から効力を持ちます。
従って仮に遺言の内容を知っていたとしても、相続人や受遺者は遺言者の死亡前に財産処分に関与することができません。
逆に遺言者が死亡するまでは効力が発生しませんので、遺言者は遺言の内容を規定に沿って、いつでも破棄したり書き換えることができます。
また実際には手続きが必要となりますが、原則として遺言者の財産などの権利は死亡時から相続人などに移転すると解釈されています。
条件つき遺言の効力
遺言では条件をつけて相続や遺贈を行うことができます。
例えば「家業を継ぐかわりに家屋と土地を相続させる」といったものです。
この条件には「停止条件」と「解除条件」があります。
停止条件とは条件が満たされた時に効力が発生するもので、解除条件とは逆に効力が失われるものです。
上記の「家業を継ぐかわりに家屋と土地を相続させる」というものは条件が満たされた時に効力が発生するので停止条件となります。この場合、遺言者の死亡時から効力が発生するのではなく、条件が満たされた時に発生します。
解除条件は例えば「遺言者Aの財産をすべてBに相続させる。ただしBが婚姻した場合は、この効力は失われるものとする。」といった内容になります。この場合、相続という効力は死亡時に発生しますが「婚姻した場合」という条件が満たされた時に効力が失われます。
遺言の効力はいつまでか?(時効)
遺言は上記のように原則として遺言者の死亡時から効力を発生しますが、ではいつまでその効力を保っているのでしょうか。
例えば遺言書があったとして、まだ遺産分割をしていない状態で数年経ったとしましょう。この場合でも遺言書の内容の通りに遺産分割しなければならないのか。
結論から言うと遺言の効力について時効はありません。もし遺言書を見つけられず遺産分割協議によって財産を分けたとしても、遺言書がその後に出てくれば遺言書の内容が優先されます。
また古い遺言書と新しい遺言書がある場合、基本的には新しい遺言書の内容が優先されます。しかし、お互いの内容で抵触しない部分については古い遺言書の内容も有効です。
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