遺言書の作成方法にはどんな種類があるのか

遺言書について

遺言書には自筆証書遺言や公正証書遺言といった種類が存在します。

これから遺言書を作成しようとしている方のためにどんな作成方法があるのかをわかりやすく解説していきます。

遺言書の作成方法は5つ

遺言書には全部で5つの作成方法が存在します。

  • 自筆証書遺言
  • 公正証書遺言
  • 秘密証書遺言
  • 危急時遺言
  • 隔絶地遺言

なお、一般的には自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言の3つの方法で作成する方が多いため、この3つについて重点的に解説させていただきます。

自筆証書遺言とは

自筆証書遺言とはその名の通り、そのすべてを自分で書き残す遺言書の方法です。ただし、平成31年の法改正により遺言書に添付する財産目録については自筆ではなくても良いことになりました。

自筆証書遺言のメリット

自筆証書遺言のメリットは費用がかからないことと、いつでもどこでも気軽に書けるという点です。

自筆証書遺言は紙とペンがあれば書けますので、費用はほとんどかかりません。また自分の好きなタイミングで自分のペースで書き進めることができます。

さらにあとで書き直したいと思ってもいつでも修正できる点もメリットと言えます。

自筆証書遺言のデメリット

自筆証書遺言のデメリットは財産目録以外のすべてを自分で書かなければならないことです。その作業自体も大変なのですが、自筆証書遺言は書き方が法律で定められていますので、それに沿って書く必要もあります。もし法律に沿わない書き方をした場合、無効となる可能性もあります。

また自筆証書遺言は家庭裁判所で検認という手続きが必要になります。この手続きは相続人が行うもので遺言者には直接関わりのない作業なのですが、検認をしないと相続手続きが行えず、相続人の負担になることが考えられます。

さらに自筆証書遺言は1つしか存在しないため、汚損・破損、または紛失してしまった場合は改めて書き直すことになります。

最後にもうひとつ、自筆証書遺言は金庫など厳重に保管しておくのが望ましいですが、あまりにもわかりづらい場所に保管しておくと相続人にその存在が知られない可能性もあります。そうなると相続手続きが終わった後に遺言書が発見されるなど不測の事態を招く可能性もあります。逆に家族に遺言書が見つかると内容を改ざんされてしまうリスクも考えられます。それゆえ、自分に不利な内容だったりすると、その有効性に疑義が生じて争いになることもあります。

簡単にできる遺言書の正しい書き方
昨今、注目を集めている遺言書。自分が亡くなった後の意思を伝えることのできる遺言書ですが実際にどうやって書けばよいのかわからないという人は多いと思います。そこで今回は簡単にできる遺言書の正しい書き方について解説していきます。

公正証書遺言とは

公正証書遺言は公証役場で作成してもらう遺言書の方法です。

公証役場には公証人という元裁判官や元検察官だった法律のプロが在籍しており、その公証人に作成してもらうため、無効になるリスクが少ないという特徴があります。

戸籍謄本などの必要書類を集め、証人2名と共に公正証書遺言を作成します。

公正証書遺言のメリット

公正証書遺言のメリットは公証人という法律のプロが作成に関わることで遺言の方式で無効になるリスクが低いという点です。自筆証書遺言の場合、法律に従って記載しなければならず、その方式を間違えると無効になってしまいますが、公正証書遺言の場合、まずあり得ないことです。

また公正証書遺言の原本は公証役場に保管され、遺言者には謄本と正本が渡されます。そのため汚損や破損、紛失といったリスクがありません。

さらに自筆証書遺言で必要な検認手続きが不要である点もメリットと言えます。

公正証書遺言のデメリット

公正証書遺言のデメリットは費用がかかることと、手間がかかることです。

公正証書遺言を作成する場合、公証役場に支払う手数料が発生します。その費用は案件によって異なりますが、基本的な費用は財産の価額と相続人の数で決まります。単純に言うと相続人の数が多く、財産が多ければ手数料も高くなるということです。

また公正証書遺言の場合、戸籍謄本や不動産の登記簿謄本など必要書類を集めなければならず、さらに公証人との打ち合わせなど時間と手間がかかってしまいます。

実は自分でも簡単!公正証書遺言の作り方とは?
今回は公正証書遺言を自分で作る方法をご紹介します。必要書類を揃えるのが大変だったり証人が必要だったりハードルが高いと思われがちですが、実際にやってみると実はそうでもないかもしれません。費用や手順について詳しく解説していきます。

秘密証書遺言とは

秘密証書遺言とは遺言者が作成した遺言書を公証役場でその存在を保証してもらう方法です。

遺言の内容は誰にも知られることなく、その存在だけ公的な証明を受ける形です。

秘密証書遺言のメリット

秘密証書遺言のメリットは遺言の内容を誰にも知られることがないという点です。公正証書遺言の場合、公証人はもちろんのこと、証人2名にも内容が知られてしまいます。しかし秘密証書遺言はその内容を読み合わせする必要がないため、こういったことがありません。

また遺言書の内容も自筆である必要がなく、パソコンで作成しても大丈夫です。

秘密証書遺言のデメリット

秘密証書遺言のデメリットは自筆証書遺言と同様、その書き方によっては無効となる危険性があることです。また検認手続きも必要となります。

さらに汚損や破損、紛失して場合は改めて作成しなければなりません。

どの作成方法がおすすめか

通常は上記の3つの作成方法がありますが、秘密証書遺言はメリットが少ないため、自筆証書遺言か公正証書遺言が一般的です。

またその確実性から公正証書遺言を推奨する専門家が多いです。しかし自筆証書遺言で作成している方も多いです。

自分で作成できる自信がある方や頻繁に書き直したい方は「自筆証書遺言」。確実なものを作成したい方や書き直す予定のない方は「公正証書遺言」がおすすめです。

決め兼ねる時は、まずは自筆証書遺言で作成してみて、無理そうだなと感じたら公正証書遺言を選択するのも良いかと思います。

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