公正証書遺言の作成では証人2名が必要です。
責任や守秘義務もあり、その他のトラブルや様々なリスクを避けるため適切な証人選びについて解説していきます。
公正証書遺言で必要になる証人とは?
公正証書遺言は公証役場で作成する遺言の方式ですが、この時には2名の証人が必要となります。
証人は遺言の作成時に立ち会うことになります。証人は遺言者が本人であるか、遺言者の精神状態は正常なのか、遺言者は自分の意思で内容を口述しているのか、遺言の内容と書面の内容が一致しているかなどを確認します。そして遺言書に署名と押印をします。
証人は自分で知り合いなどに頼むこともできますが、誰でも良いというわけではありません。
相続人・受遺者・相続人の配偶者・受遺者の配偶者・直系血族・未成年者・公証人の配偶者・公証人の四親等内の親族・公証人の書記及び使用人
直系血族とは遺言者の祖父母・父母・子・孫など、直系で繋がっている者を言います。従って身近な家族は証人になれないと考えた方が良いでしょう。
また証人が行う確認作業ができない者も事実上の欠格者となります。
証人の責任や守秘義務
上記でも述べたように証人は証人は遺言者が本人であるか、遺言者の精神状態は正常なのか、遺言者は自分の意思で内容を口述しているのか、遺言の内容と書面の内容が一致しているかなどを確認します。
証人というと、少し重苦しいものを感じますが立会人という認識で良いかと思います。
しかし、もしこの確認の際に故意(わざと)や重大な過失があった場合、そのせいで相続を受けられなかったなど損害を受けた人から責任を問われ賠償請求される可能性もあります。
また遺言書はとてもプライベートな内容であり、証人はその内容を知ることとなりますので、内容等について口外しないよう守秘義務を負います。
遺言執行者や兄弟は証人になれるか
公正証書遺言の作成で証人になれないものは上記の通りですが、遺言執行者や兄弟が証人になれるのか疑問に思う方が多いかと思います。
遺言執行者とはその名の通り、遺言の内容を執行(実行)してくれる人のことです。
結論から申し上げますと基本的に遺言執行者や兄弟であっても証人になることはできます。
相続人・受遺者・相続人の配偶者・受遺者の配偶者・直系血族・未成年者・公証人の配偶者・公証人の四親等内の親族・公証人の書記及び使用人
証人になれない者はこれらの方々で、これに該当しなければ証人になることができます。
ただ注意しなければならないのが、遺言執行者や兄弟であってもこれらの条件に該当するパターンもあります。
例えば、被相続人に子供がいない場合です。通常、相続人は配偶者と子供になりますが、子供がいない場合は親が相続人になります。しかし被相続人が配偶者のみで親や子供がおらず兄弟がいれば、その兄弟が相続人となります。この場合、兄弟は証人になることができません。
もし適当な人がいない場合は公証役場で証人を手配してもらえます。その場合は別途費用がかかります。
また弁護士や司法書士といった専門家に公正証書遺言の作成を依頼した場合、遺言執行者と証人のどちらも依頼できるのが一般的です。
証人の必要書類
証人の必要書類は住所・氏名・生年月日・職業がわかる確認資料となります。
免許証と職業がわかる社員証や名刺があれば良いでしょう。それらをコピーして公証人に提出します。証人の必要書類は特に指定されているわけではないので、遺言者が用意する場合はそれらの内容を記載したメモでも構いません。ただし、当日に改めて本人確認される可能性もありますので、免許証などの身分証明を持参してもらいましょう。
また証人は遺言書に押印もしますので、認印(シャチハタ不可)を持参します。
証人トラブルを回避するには
証人を遺言者が用意する場合、大抵は信頼のおける身近な人にお願いします。
しかし、上記でも述べたように証人になれない者が決まっていますので、お願いしたい人が証人にはなれないといったことがよく起こります。また近すぎると相続人に情報が漏れてしまうなどトラブルが起こるリスクもありますし、親しい人に遺言の内容を知られたくないという人もいるでしょう。
適当な人がいない場合、公証役場で証人を手配してくれますが、赤の他人に証人をお願いするのも嫌だなと感じる人もいるでしょう。
どうしても証人を見つけられない場合は弁護士や司法書士、行政書士といった専門家に依頼するのも手です。こういった専門家は職業柄、守秘義務が課せられていますので一般人よりも秘密保持の期待が持てます。基本的には公正証書遺言の作成を依頼すれば証人にもなってくれます。
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